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まどろみの中にある 秘密の幸せをあなたにも

お昼寝中の米太郎

子供の頃、お父さんとお母さんは、私とお兄ちゃんが中学生になる頃まで、休みになるとおじいちゃんとおばあちゃんと私たちを連れていつも車でどこかに連れて行ってくれた。

まだ眠い朝3時や4時に起こされて車に移動して、また眠る私たちは次に起きた時には知らない場所にいて、観光をしたり美味しいものを食べたり、夕方まで存分に楽しんだらまた車に乗って家に帰る。

その時に後部座席から見える、高速道路のオレンジ色の光や時々見える町の光がすごく好きで、いつまでもいつまでも光を追い続けては「この時間がずっと続けばいいのに」と思いながら眠ってしまい、家に着いたらまた起こされて車からベッドへと移動してまた眠りについた。

思い返してみれば、大人になってからの旅行は宿に泊まるので、高速道路のオレンジ色を追いかけることはほとんど無くなってしまった。あの頃の私には、オレンジ色の光を追いかけることと、もう1つ秘密の楽しみがあった。

寝たふりをして大人たちの会話を聞くこと。正確には、寝ていたけれど意識だけは起きてしまい、寝るか起きるか迷って、まどろみの中にいる状態。

子供たちが寝ていると思っている大人たちは大人の会話をする。なんだか聞いてはいけない気がしながらも、わからない話がありながらも、こっそり聞いていた。どんな話を聞いたとしてもそれは絶対口にしない、こっそり聞いてしまったことは私だけの秘密だった。

時々、両親は私の話をしていることがあって、内容は全く覚えていないけれど、内容が嬉しかったのか、それとも自分のことを気にかけてもらえているのが嬉しかったのか、私の話をしている度に嬉しくなって、安心して私はまた眠りについた。

あれから20年以上が経ち、私は両親の元を出て、結婚をして子どもを生んで暮らしているけれど、時々同じような経験をする。

早朝、出張に行く夫くんが、眠りこける私とベビの頭を「よしよし」として出て行くことがある。夢と現実を彷徨っている、寝ぼけた私の夢なのかも?とも思うけれど、何度か記憶にあるので現実だと思うことにした。そんな手のぬくもりを頭にのせたまま、私はまた安心して眠りにつく。

誰も見ていない。本人すら気づいてない中で、それでもあなたを大切にしてくれる人がいるなら、それはすごく幸せなことだと思う。

昨夜、ベビの眠る顔をじーっと見つめて、ふと夫くんに声をかけた。

「うちの子さぁ、丸顔丸顔って言ってるけど、横向いて寝てたら肉が垂れてて、上側にあるアゴはシュッてしてるじゃん?ってことは、やせたらシュッてして丸顔じゃなくなるんかなぁ?」と。

言いながら、自分の子供の頃の記憶を思い出して、もっと「大好きよ」とか、そういう声をかけてあげれば良かったと反省した。

あなたが眠る隣で、私達はこれからもあなたの話をたくさんするよ。あなたは聞いてないと思う。もし聞いていたとしても、いつか思い返すことなんてないかもしれない。

でも、もし、少しでも、あなたのまどろみの記憶に何かが残るなら、「ママとパパは僕を大事にしてくれた」という記憶であればいいなと思う。