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フリーランスとして、ママとして、自分をブランドにする生き方|栢原陽子

書くこと

小説を読むことの価値を知った

投稿日:2016-11-26 更新日:

「本を読んでる人は頭がイイ」「小説を読めば想像力が養われて人の気持ちの理解力が深まる」など本を読むメリットはいろいろ言われているけれど、今まで出会った中で1番しっくり来たのは、

気持ちを正確に伝えるための手段を手に入れるため

というもの。

「勉強」という類が好きな私はビジネス書や専門書を読むことは多かったけれど小説というものにはそんなに触れてこなかった。ほんの数年前、やっとその面白さに気づき「小説を読むこと」の価値を知ったように思う。

例えば、エスキモーの生きる世界では「雪」を表現する言葉が何十種類もあるらしい。それは生きるためにその「雪」の状態を知ることが必要だから。

女性の口紅の色は年々増え続けていてもう数えきれないほどの名前があるけれど、男性よりも女性のほうが赤色の判別力が高いと言われている。なぜならその微妙な違いを見分ける必要があるから。
  
たった一つの単語の選び方にもセンスが表れ、意味が変わるのが私たちが生きる”言葉のある世界”だ。
 
心の底からの「美味しい」を難しい言葉や複雑な単語の並びでやぼに表現して欲しいわけではないけれど、言葉は自分を理解し伝えるために、欲しいものを手に入れるために必要なツールだと思う。
 
 
私は特に文章を書くことが多いので、自分の中に浮かぶほんの些細な心の動きを見つめることを癖にしている。心の状態がどうあるのか、なぜそうなのか。それを見つめ、表現するための言葉をいつも探している。その些細な動きの変化に注力することは時に辛く疲れてしまうけれど、それは文章を書くことと引き換えに私が選んだことだからしかたない。
 
まだまだ未熟で、ざっくりとした感覚を持ちながらも言葉にできない想いに気づくことがある。小説を読んでいてその、自分の語彙力や表現方法では言い表すことのできなかった想いを代弁している表現に出会うと、読み進めるのが困難になる。

心の深い部分に届き過ぎて「あー、あの時の私の感情が言いたかったことはこの一文に全部詰まっている」と思うような文章に出会えた時には、喜びと共にその感情を体感した時の記憶や感覚が呼び起こされて、小説の一文と感情とを交互に噛み締め直して途方にくれる。そんなことが度々起きる小説だと、もはやページをめくる手が遅くてしかたない。
 
一方でそんな小説の一文のためにそのほかの全ての文章は存在しているように思えて、たった一文でいいから、私も誰かにそんな風に共感してもらえるものを書きたいとの想いが強くなる。
 
 
私は、どうしてもどれだけ考えても説明できない感情を経験したことがある。

ある仕事を終えた時、悲しいでも嬉しいでも切ないでも辛いでも怒りでも安堵でも後悔でもないのに、ただただ涙が止まらなくて泣きじゃくった時がある。無事終わってほっとしたのも事実だし、頑張ってきたことの幕が降りてもうこの時間を過ごすことは二度とないのかもしれないと思った寂しさであることも事実だし、達成感であることも事実だけれど、どれも経験したことのある感情で、それらの表現では言い表せないものだった。
 
どうして泣いているのか、何のために泣いているのか、何が私を涙させているのかもわからず、ただ溢れる涙を止めることができなかった。
 
 
たくさんの言葉に触れて、小説を読んで、経験を積めばあの時の私を少しでも理解できるのだろうかと問い続けて私は様々な言葉に出会いに行く。
 
でも、まだその答えには出会えないでいる。
  
 

-書くこと

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